00

「ブルマさはなーんで結婚しねぇだか?」

C.Cでバーベキューパーティを開いた夜、缶ビールを空けながらチチが云った。
「さあねぇ。あいつ宇宙人だから結婚っていう概念自体ないんじゃないの?」
ブルマはあっけらかんとして、4本目のビールを空けた。
「それは、悟空さだって同じだ!ブルマさ、悪いことはいわねぇ、さっさとべジータと結婚したほうがええだ」
今日のチチは一体どうしたというのだろう。やけにブルマに絡んでくる。
トランクスもだいぶ大きくなり、べジータも一緒にC.Cに住んでいるというのに、結婚という契約をすることになんの価値があるのか、ブルマにはまったく理解できなかった。

「べジータは地球にいるのがイヤになれば、どっかの星に行っちゃうわよ」
「でもブルマさ・・・結婚ってのは女にとって大っ切なことだべ」
チチは自分のことのように心配そうにブルマを覗きこんだ。
ブルマは、まるで母親以上に心配するチチのことを微笑ましいと思ったし、実際べジータと結婚したほうがいいといったのはチチだけだった。
「なーに他人事みてぇに笑ってるだか!」
「だってさぁ、べジータと結婚っていうのが可笑しくって」
「なーにが、おかしいだか!ブルマさは純白のドレスを着てみたいと思わねぇのけ?思い出すなぁ、オラが悟空さと結婚した時のこと。あぁ、あの時は本っ当に幸せだったべー」
チチは既に自分の世界に入り込んでしまっている。
ブルマはしょうがないわねと苦笑いをすると、チチにデザートのアイスクリームを取ってやった。

(結婚なんてめんどくさいし、素敵な恋人のままであたしは十分なんだけどねー。まぁ、真っ白なドレスってのにはちょっと興味があるけどさ。)
アイスクリームをほおばるチチを横目に、ブルマは頬杖をつき5本目の缶ビールをあけた。
べジータを見ると、悟空や悟飯と一緒に、ガツガツと分厚い肉を片っ端から平らげている。
(だいたい、あいつがタキシード着て、指輪交換とかしちゃったり、神父さんの言葉をおとなしく聞いたりするなんて想像もつかないわ!)

はっきりいってブルマは、べジータに地球人が普通にすることを求めてはいない。
働いて稼いだり、季節ごとのイベントを忘れないでこなしたり、レディへの気使いをしたり・・・というようなことを求めていたならヤムチャで十分だった。
もちろんヤムチャは友人としては最高だ。信頼もしている。

でもブルマが求めるものはそんなものではない。
少女の頃からブルマが捜し求めていたもの

それはドキドキするような、ロマンティックな恋

それだけだった。

べジータは地球人が普通に持っているようなものは何一つ持っていなかったが、そんなものはブルマが全て持っている。

べジータはブルマが今まで体験してきたたくさんのことを、全て吹き飛ばしてしまうようなような
何かを持っていた。

何か・・・それはなんだろう。
ブルマにもよくわからないが、きっとブルマのものさしでは全部を測りきれない。
それがべジータの魅力だ。

ブルマはいつのまにかべジータを目で追っていた。
べジータはブルマの視線に気づいたのか、一瞬ブルマを見たが、また目の前の大きな肉の塊に視線を戻した。

(真っ白なドレスねぇ・・・・・・)
「そうだ!いいことを思いついたわ!」
ブルマの突然のひとり言に、チチはびっくりしてアイスクリームを食べる手を止めた。

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楽しいバーベキューパーティも終わり、ブルマは自分の部屋のベッドに寝そべりながら、考え事をしていた。
それはべジータをハメて、タキシードを着せてしまおうというもので、ブルマはその筋書きを作ることに没頭した。
「ふんふーん♪」
ブルマはスケッチブックを取り出し、マーカーで次々とアイデアを書き出し、ついでにマリアベールを被りドレスをまとった自分と、タキシードを着たべジータのイラストを描き出した。
「うん、わりといいじゃない」
ブルマは満足そうに笑った。その時

「貴様、何を一人で笑っている」

いつのまにかブルマの側にべジータが立ち、気味悪そうにブルマを見ていた。
「ぎゃっ!!な、なんであんたがここにいるのよ」
「貴様が気づかなかっただけだろうが」
べジータはそう云うと、ブルマの持っているスケッチブックに目をとめた。そこには妙な格好をした自分と、頭からシーツを被ったような格好をしたブルマが描かれている。

「何だ?これは」
べジータは興味深そうに見ている。
「な、なんでもないわよ!それよりあんた何か用?!」
「フン。オレのことをジロジロと見ていただろう」
べジータはブルマがバーベキューパーティの時に、じっと見ていた事を知っていた。
「用があるのは貴様の方じゃないのか?」
べジータはそう云うとブルマの腕をつかみ、射抜くような視線でブルマを捕えた。

この強い視線からは、もう逃れることはできない。
べジータも十分にそれを知っていて、じっくりと獲物を追い詰めるようにブルマとの距離を縮めていく。

そして・・・

その後のことをブルマはよく覚えていない。
ベッドの上にあったスケッチブックが、いつのまにか床に落ちていたこと以外は・・・


続く


あとがき
未来トラが、ブルマとべジータは結婚していないって言った時に、ちょっと嬉しかったんですよ。
でも、ベジが「オレの妻」発言をしていたので、未来じゃない方の世界では結婚しちゃったってこと?
それとも、役割の妻のことを言っているのか?!
ま、どっちにしても、ベジとブルマには永遠の恋人気分でいてほしいな。
・・・ということで、「00」を書き始めました。
00って何の意味?別になんの数字でも良かったのですが、(ドラゴンボールの7とか)なんとなく00で。
次回か、その次くらいに、うまくいけば00の訳について書きたいと思います。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました

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