チェックメイト

最終章


ブルマは鏡に映し出された自分の体に見とれていた。
風呂上がりのつややかなピンク色の肌は、なめらかでしっとりとしている。
自慢の胸はピンと張り、神々しいとまで思う。
そして、胸のラインから降りてくるウエストは、折れそうなくらいに細く締まり、
キュッとあがったヒップと、すらりと伸びた足は、まるで彫刻のように美しい。

しかしブルマには、この身体がベジータを魅了するできるかということに関して、自信がなかった。
ベジータ以外の男なら落とせるだろう。
そう、相手が孫悟空でも例外ではない。
なぜなら、同じサイヤ人でも孫悟空は女の味を知っているからだ。
でも、ベジータはどうだろう・・・?
(考えてもしかたないわね・・・
見てらっしゃい、絶対にあんたを落としてやるんだから!!)
ブルマは薄いガウンを羽織ると、ベジータの部屋へと向かった。

ブルマはベジータの部屋のロックを解除し、中へと侵入した。
明かりが消えているので、すでに寝ているのかもしれない。

「なんの用だ」
奥からベジータの声が聞こえた。
「あら、起きてたのね・・・
こんな夜中にぴっちぴちのレディが来たのよ。
何の用だ、はないでしょ?」
窓を開け、その場所に腰掛けているベジータの前にブルマはすらりと立った。

部屋の中は月明かりだけで、薄暗い。
ベジータの表情は見えないが、声の調子からいつものように不機嫌な様子が伺える。
「超サイヤ人になれたっていうのに、うれしくなさそうね」
「フン。まだまだこれからだ。あのカカロットを倒すのにはな・・・」
しかし、ベジータの不機嫌は孫悟空のことではない。
先ほど、ブルマに抱いた感情のせいだ。
できれば、ブルマとはこれ以上関わりたくないと思っていた矢先に・・・


「ね、ベジータ。あたしを見て」

はらりとガウンがブルマの身体から流れ、足もとに絡まるように落ちる。

ベジータはそれをスローモーションで見るように、眼で追った。
「・・・」

わずかな月明かりが、ブルマの身体を蒼白く照らし、ふくよかなラインを描いている。
ベジータは大きく眼を見開いたまま、息をのんだ。

長い時間ベジータに凝視されていたブルマは恥ずかしげに、顔を俯かせた。
ベジータははっとする。

「き、貴様・・・何のつもりだ・・・」
ベジータは喉がひどく乾いていることに気づいた。
声もうわずっている。

「あたしのことを、見て・・・ベジータ」
ブルマはベジータに向かって、一歩一歩ゆっくりと近寄っていく。

「オレに・・・近寄るな・・・殺されたいか?・・・」
「あんたはあたしを殺さないわ」
ブルマは白い指をベジータの手に添え、自分の胸にベジータの手を押し当てた。

「・・・!!」
ベジータは驚くほど柔らかいブルマの身体に触れ、全身の血が激しく流れ出したのを感じた。
(まただ。またあの時と同じだ。
オレは・・・この女に触れるとおかしくなる・・・)
ベジータは高まる感情を抑えることに、神経を集中させた。
しかし、ブルマはさらに肌を密着させるようとする。
「やめろ」
「やめないわ。あんたの心臓・・・こんなにドキドキしてるもの」
ベジータの胸に、ブルマの指がやさしく触れる。

(たかが女だ。
多少役に立つとはいえ、オレが数え切れないほど殺してきた女と同じだ!!
戦闘服もメディカルマシーンも完成した。
もうこの女は必要ない・・・
この女がいるから、オレはくだらん感情に支配されるんだ・・・)
ベジータはブルマの胸に触れていた自分の手のひらを、ピンとのばした。
少し気を発すれば、ブルマは死ぬ。

ブルマもベジータの動きに気づいた。
しかし、蒼い眼は怯えることなく、まっすぐにベジータを捕らえた。

「ベジータ。
あたしを・・・抱いて」

ブルマはベジータ自身にそっと触れた。
それはベジータの感情とは関係なく、ビクリと反応を示す。
(くっ。この下品な女め!!!)



月明かりの中に、重なりあった二人のシルエットが浮かび上がった。
ベジータはブルマを組み敷いていた。
そして、ブルマの耳元で唸るように云った。

「これで貴様の思うとおりになっただろう・・・」

べジータの手が伸びて、ブルマの髪に触れた。
無骨な指が、耳のあたりから髪をすくいあげるように、何度か往復運動を行う。

「フン・・・満足か?何もかも、貴様の筋書き通りだからな!」

べジータは怒りとも切なさともとれる眼で、ブルマをまっすぐに見た。

(チェックメイトね)
ブルマは心の中でつぶやいた。

そして、ベジータがブルマに敗北宣言をした瞬間だった。





あとがき
ようやっと、完結させました!!!
え?まだ完成していないだろって?
あ、このあとのエッチシーンですね!
はいはい、もちろん次回に番外編でやりますよ(笑)

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