未来から来た青年 2

ブルマがジェットフライヤーが中庭に降りると、見覚えのある青年がぽつんと立っていた。
「あら?未来から来たあの青年じゃない。また来たのかしら?」

ブルマがジェットフライヤーから降り立つと、青年が困った顔でブルマを見た。
「あの・・・タイムマシンの調子が悪いらしくて、未来へは帰れずにあの後すぐ戻ってきてしまったのです。いろいろ検証していたのですが、これ以上は設備のないところでは難しそうで。・・・研究室をお借りできませんか?」
青年はおずおずと言った。
「こんなところで待ってなくても、父さん・・・え・・・と、ブリーフ博士がいるから入ってれば良かったのに。
あんた、未来でカプセルコーポとなんか関係があるんでしょ?」
「はあ・・・。でも、突然だと驚くかと思って」
青年はうつむいてしまった。
「ま、いいわ。いらっしゃい。あたしが見てあげるから」
ブルマはそういうと研究室へと青年を案内した。

「すごい!こんな立派な設備があるなんて!」
青年は機械に興味があるらしく、あちらこちらを見て感嘆していた。

ふーん。機械に興味のある超サイヤ人もいるのね。
ブルマは棚の上から白衣を取り出すと、ドレスの上から羽織った。
着替えてきてもいいのだが、どうせこのドレスはもう着ないだろうと思ったのでそのまま研究室まで来てしまった。

「よし。じゃ、タイムマシンのメインボードを取り出してくれる?」
ブルマはコンピューター診断にかけられるよう、ケーブルを引っ張ってきた。
「あ、きれいな服が汚れてしまいますから、オレがやります」
青年はサイヤ人らしくない気をつかうと、ブルマからケーブルを奪った。
「大丈夫よ。どうせもう着ないし」
「え?そ、そうなんですか。すみません・・・」
青年は、またあやまっている。
おかしな子、とブルマは内心思いながら、遠慮のない視線で青年をまじまじと見た。
「あ、あの?なんですか?」
青年はドギマギと視線を泳がしている。
ブルマは、その理由が自分の身に着けている、きわどいラインのドレスから覗く、豊満な胸のせいだとは気づいていない。
普段、ブルマの美貌やスタイルに無関心な仲間達のせいで、他人の視線をあまり意識しなくなってしまったせいだろうか。(亀仙人は別だが、アレはプリプリなギャルならなんでも有りなのであえてはずす)
「あんた、サイヤ人にしては結構かっこいいじゃないの。モテるんじゃない?」
「い、いえ。女性とはあまり接点もないし、人造人間を倒すことだけを考えていましたから・・・」
半分本当で半分は嘘である。

トランクスは胸のポケットに、若い頃の母の写真を大事に持っている。
激しい戦いで、写真はボロボロになっていたが、それでも手放すことができなかった。
自分の母であり、母ではない若いブルマ。全く違った歴史と雰囲気を持った一人の女性。
写真の中の女性は、華やかに、そして優しくトランクスに微笑んでいる。
自分だけが生きのびることが精一杯な世界で、他人への思いやりや、恋心といった感情を認識することは難しい。
ましてや、トランクスは常に命のやり取りをしている戦士だ。
そんな繊細な感情を教えてくれる人もいなかった。
ただ、その写真を見ると胸のあたりがドキドキして、切ない疼きが身体を支配する。

その、写真の中だけだと思っていた女性が目の前にいる。
そして、歩くたびにチラチラと目に付く太ももから足首まで綺麗に伸びたラインと、白衣から覗く白い胸元は、トランクスには衝撃的だった。

と言っても、女の裸はうんざりするほど見ている。
ただし、動かない物体として。
人造人間が襲った街では、殺された人間達が焼け焦げた肌をさらし、いくつも転がっていた。
また、残った街では女達が僅かな金や食料を求めて、男達に体を売っている光景もよくあった。
トランクスも食料を買いに街を歩いている時に、何度か声をかけられたことがある。
薄汚れた上着をはだけ、いくらで買ってくれる?と言うのだ。
中には自分より年下の少女と言ってもいいような子もいた。
さすがにトランクスも痛ましく思い、僅かに金を握らせることもあった。
母のブルマも、ごくたまにだが、そこらの子供達に食料を分けてやることもあったので、トランクスもそのように金を渡しただけだ。

それだけである。

そして・・・トランクスは一刻も早くこの研究室を出たくなった。
免疫のない男性にとって、無意識の女の行動ほど、タチが悪いものはない。

「ほら、ミネラルウォーターでも飲む?」
ブルマは冷蔵庫からボトルを取り出すと、青年に投げた。
ブルマもワインの酔いを中和するために、ゴクゴクと飲んでいる。

ふとブルマは、自分が滑稽に思えてくる。
とっておきの綺麗なドレスに、ところどころ油シミがついた白衣をはおり、ワイングラスではなく無骨なボトルそのままにミネラルウォーターを飲んでいる自分。素敵な時間を恋人と過ごすはずだったのに、なぜが得体の知れない青年と研究室にこもっている。
「おかしいわね。笑っちゃうわよ」
ブルマは軽く笑った。
「え?」
「ああ、なんでもないのよ。ちょっと酔ってるし、気にしないで」
一瞬だけ見せたブルマの寂しげな表情に、トランクスは、何故か少しだけ意地の悪い質問をしたくなった。
「・・・あのブルマさん、ひとつ聞いてもいいですか?」
「なあに?」
「今日、ヤムチャさんとなにかあったんですか?」
「え・・・・」
トランクスの核心をついた言葉に、予想通りブルマは少し狼狽したようだった。
しかし、またいつものはっきりとした表情に戻ると
「あら、年下の男が知った風な口をきいちゃダメよー。」
と、いたずらっぽい表情をつくると、ブルマはパチンとウインクをし青年を軽くあしらった。
「じゃ、メインボードを診断機にかけてみるわよー」
ブルマはくるりを背を向け、コンピューターのモニターを操作し始めた。

その時。

研究所にわずかな風が起きた。

一瞬、ブルマは何が起きたのか理解できなかった。
あっという間に、青年の力強い腕に引き寄せられていたのだ。
青年はどんな顔をして自分を抱きしめているのだろうか。
目の前のモニター越しにぼんやり映った青年の輪郭からは、その表情を読み取ることはできない。

「すみません・・・こんなことをして。」
「は、離して」
「それは・・・出来ません。」
「どうしてよ」
「オレにも判りません」
ブルマは訳が判らなかった。突然抱きしめてきたかと思うと、その行動の訳を自分でも判らないという。
なんだか馬鹿にされているような気がして、ブルマはだんだんイライラしてきた。

文句の一つも言ってやろうと思い、青年の腕を振り払おうとした。
が、青年はさらに強い力で後ろから押さえ込んだ。
ブルマの背中に、青年の固く熱を帯びた胸板がぴったりと密着してきた。
そのあまりに熱く伝わってくる体温に、ブルマは痛いような、切ないような息苦しさを感じて必死にもがいた。
「逃げないでください。もう少し、このままで・・・・」
青年がブルマの頬へ、愛おしそうに自分の頬を押し付けた。
そして、すみれ色の柔らかそうな髪がブルマの視界に入ったかと思うと、青年の額の髪がさらさらと流れ、ほつれていった。
青年の腕は少しも緩められることなく、ブルマを後ろから抱きしめている。
回された腕も、背中に感じる熱を帯びた硬い胸板も、チラリと視界に入る青年の切なげな横顔も、ブルマの体温を少しづつ上昇させていった。

「あなたがいけないんです。」
「あなたが、オレをこんなにさせるから・・・」
青年は苦しそうに、何度も何度もそう言ってブルマを責めた。

ただそれだけだったが、言葉を重ねる度に熱を帯びてくる青年の声に、ブルマの身体の芯が痺れ、そして、その痺れは、じわじわと全身に回るように広がっていった。

「離して・・・」
ブルマはやっとそのことを言った・・・つもりだったが声にはならなかった。

甘い吐息のように、ピンク色の形の良い唇から吐きだされたその言葉は、青年の制御されていた思考を突き抜けさせた。

首筋にひやりとした感触を感じた。
「・・・・・・!!」
あまりの冷たさに、ブルマは硬く目を閉じた。

青年は、触れるか触れないかくらいのタッチで、ブルマの白いうなじから首筋にかけ、ゆっくり、ゆっくりと唇を押し付けていく。
まるで、ひとつひとつに自分の印を刻印していくように。

そして、青年の右腕が解かれると、ブルマの白衣の下に隠れた、細くくびれた腰や、たおやかな胸の下のあたりを何度も這うように撫でていった。
その度に、ブルマの体に、ぞくりとした快感が突き抜けていった。

「ここも・・・」
ブルマは、胸の下にあった青年の手をそっとつかむと、自分の胸のふくらみへと誘った。

「え・・・・!」
青年は少し驚いたように、一瞬、手の動きを止めた。
迷っているようだった。

が、先ほどとはうって変わった、せわしない動きで、ブルマのふくよかな胸を下からすくうように揉みしだき、手の平にピンと立ったものがあたると、その部分を服の上から集中的に責めだした。
「あぁっ・・・」
ブルマは美しい眉をひそめ、僅かに顎をあげた。

ブルマの足のすき間から、青年が自分の足を割り込ませてきた。
そして、胸をまさぐっていたのと反対の手が、ブルマのドレスのスリットから侵入したと思うと、太ももの辺りを上下に撫でながら、ぎこちなく、それでも、じわじわと奥の方へと移動してきた。

自分の背中に感じる心臓の音と、少しだけ震えるような青年の手の動きに、ブルマの意識は一瞬だけ現実に戻った。

あたしったら、未来から来た名前も知らない男と、一体なにやってるのかしら。
しかも・・・年下じゃないの。

「・・・っ!」

現実へ戻ってきたかと思われた意識は、また、青年の手によって快楽の世界へと戻された。
ブルマの身体の中心部はいつのまにか蜜で潤い、青年を受け入れる準備ができていたようだ。
すでに、青年の指がブルマの奥へと侵入しようと、甘い蜜をたどり、青年自身を受け入れる部分を乱暴な手つきで探している。
いつの間にかビスチェもずり下ろされ、形よくピンと張った胸が、蛍光灯に照らされて不自然なほど白く浮き上がって見えた。

「あぁっ・・・」
ブルマがたまらず声を上げた。

トランクスの指が、深く、吸い込まれた。

そこはトランクスが何度も何度も、渇望してきた場所だと思った。
熱く潤い、指を上下に動かす度に、強く締め付けてくる。
トランクスをあやしく誘うように。

「・・・したい・・・」

「オレはあなたと、したい」

許されないことだと判っていても・・・

指の動きは弱まることなく、狂おしく本能のままに踊るように動き、曲がり、そしていやらしい音を立てて撫で回す。
その度にブルマは悩ましくトランクスの耳元で喘いだ。
「あぁ、・・・もう・・・」
ビクッ、ビクッと痙攣し、ブルマの足の先まで固くなるのがトランクスにも伝わってくる。
そして、奥深くに侵入した指が、ぎゅっと締め付けられる感じがすると、トランクスはブルマの薄く開いた唇に自分の一指し指を突っ込んだ。
「・・・んんっ!」
くぐもった声が漏れ、ブルマはぐったりとトランクスに体重をかけてきた。

トランクスはブルマの向きをくるりと変えた。
薄く引き締まった唇をブルマに押し当てると、舌で唇を割り、餓えた獣のようにブルマを求めた。
ブルマも同じように舌を絡ませてくる。
「・・・っ」
トランクスは頭の芯に、しびれるような疼きを感じ、軽い眩暈を覚えた。

・・・もう、どうなってもいい。

その時、ブルマの視線とトランクスの視線がバチッと交差した。
自分を見つめるぱっちりと開いた蒼い瞳に、ふと、自分の心を見透かされているようなバツの悪さを感じた。

しかし、ブルマはトランクスの心を知る由もなく、ジャケットに手をかけ脱がそうとする。
咄嗟に、トランクスはブルマを抱きしめ、それを妨害した。

なぜ、自分を制御してしまったのか。
自分と同じ蒼い目を見た途端、罪に苦しむのはブルマの方だと理解してしまったからかもしれない。

オレはこの女性を自分のものにするためなら、罪など怖くはないと思っている。
が、しかし。
彼女はベジータとの間に生まれてきた、小さな赤ん坊を見て驚愕するだろう。
成長していく子供のオレを見て、今日のことをどう思うだろう。

それがトランクスを制御させた。

とはいえ、自分の若い体が今にも爆発しそうなのを理性で押さえ込むことは難しい。
感情とは裏腹に、身体はこの女性を強く求めている。
自分自身がブルマの奥へ入り込み、めちゃくちゃにしてやりたいと、思う。

それでも
「すいません・・・。動かないで・・・このまま!」
「あなたをこれ以上苦しませることはしませんから」
自分の体の中の、狂おしいほどの疼きを追い出すかのようにブルマをきつく抱きしめた。

痛い・・・。
ブルマは青年の腕の中から解放されたかった。
しかし青年は動かないで、という。
この青年の、性の苦痛に耐える姿はとてもセクシーだと思った。

その表情を見たくて顔を上げようとしたら、頭を抑えられ、青年の胸に押し当てられた。
「今は・・・オレの顔を、見ないでください・・・」
青年の身体からは、餓えた男の匂いがした。

「はぁっ・・・」
苦しそうに自分自身を制御しようとしているが、今にも爆発しそうな思いはなかなか収まらない。
それは傷ついた獣が呻いているようでもあり、ブルマは青年の狂おしい呻きが聞こえるだびに、快感が体中を駆け抜けた。

トランクスは眉間に皺を寄せ、硬く目を閉じている。
波のように押し寄せる、猛り狂った欲望が通りすぎるのをじっと耐えていた。

どれくらいの時間がたっただろうか。
天井から釣り下がったいくつものエアブラシやインパクト、雑然と置かれた無機質に鈍く光るシャフトがトランクスの目に入ってきた。

そうだ、タイムマシンを直すために、ここへ来たんだ・・・。

当初の目的を忘れ、自分は必要以上に過去の人物とかかわりを持ってしまった。
これにより、ブルマがべジータと結ばれなければ未来が変わってしまう。

トランクスはブルマを腕から解放すると、ブルマのはだけてあらわになった胸を白衣を合わせて隠した。
「本当にすみません。・・・このことは忘れてください。」
自分でも勝手だなと思いつつも、それ以外の言葉は見つからなかった。

「ま、いいわ。半分誘ったのはあたしなんだから。」
ブルマは軽く身なりを整えると、コンピューターボードに移動し、タイムマシンの診断をはじめた。
「あんた、ちょっと好みだったから残念だけどね。」

ふと、前触れもなくブルマの脳裏にべジータの顔が浮かんだ。
そうか。この子、あいつと雰囲気が似てるんだ。
ストイックそうな所もちょっと似てる。
でも・・・サイヤ人もこーんなエッチなこととかしちゃうのね。
あいつは、どうやって女を抱くのかしら。
そう思うとなんだか楽しくなってきた。
「ふふふ。」
「?」
青年は少し困ったような、なんともいえないような顔をして自分を見ている。

あたしは魅力的な女だ。
もう、一人の男には縛られない。

すっかり、今日の不機嫌の原因を忘れていた。





あとがき
ヤムチャから気持ちが離れつつある時期のブルマさんです。
ヤムチャ→べジータの間に未来トランクスを入れてみました(><)

NEXTをクリックすると、続・未来から来た青年にとびます。
トランクスが2回目に過去に来たときの話です。

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