蒼い狂気 1

未来の世界。トランクスが人造人間を倒してから、5年の時が経とうとしていた。
破壊された世界が元通りになるには、更なる年月を必要としていたが、それでも平和が訪れたことで人々は明るく懸命に働いていた。

人造人間を倒したトランクスと、タイムマシンを造ったブルマは、世界中の人々から救世主のように崇められていたが、その2人も休むことなく復旧作業に携わり、西の都を拠点とし世界中を飛び回って各自の持つ力を惜しむことなく分け与えていた。

西の都のC.Cの上空からエアバイクのエンジン音が響いた。
未来のブルマである。
ブルマのいでたちは、白いTシャツに、深いグリーンのポケットがたくさん付いたルーズなタイプのパンツ、カーキー色のブーツを履き、腰には護身用の銃を身に着けていた。すみれ色の髪は肩のあたりで切りそろえられ、風になびいていた。

そのブルマがC.Cの中庭に一人の人物を確認した。
「あれは、もしかして」
エアバイクを急降下させると、その人物のすぐ横で停止させた。

「やっぱり!あんただったのね!」
ブルマはニッと笑うとエアバイクから颯爽と降り立った。

「こっちにいつ来たの?過去のブルマ」
「あ、あんたがあたしなの?未来のブルマなの?」
過去のブルマといわれた人物は、エアバイクをカプセルに戻すブルマをじっと見つめて言った。

「そうよ。」ブルマは短く答えた。

「未来のあたしを助けにきたの。」
「ふふっ。あんたのことだからいつか来るんじゃないかと思っていたわ。タイムマシンの実物を見ていたから、必ず再現して造るだろうと思っていたの。で?何年かかったの?タイムマシンの完成まで」
「2年と半年ってところかしら。チャージは1ヶ月でできるようにしたけど。トランクスが乗ってきたタイムマシンがなかったら、開発は多分不可能だったと思うわ」
「でしょうね。あたしの一世一代の大仕事だったんですもの」
未来のブルマは、死と隣り合わせの世界で、人々の運命を背負い戦ってきた。
大切な息子の命を救い、この世界を救うには、このタイムマシンの開発以外に道はなかった。
だから、同じブルマといえ、平和な世界で生きてきたブルマとは能力に差があるのは当然で、過去のブルマがゼロからタイムマシンを開発することはやはり不可能だったのだ。

「これが西の都だったとは思えないわ」
「これでもだいぶマシになったのよ。他のところはまだ酷い状況だわ。治安も悪いし、おかげで銃は手放せなくなったわよ。ランチさんみたいでしょ?」
未来のブルマは懐かしいかつての仲間の名を口にした。
「そーね。でもトランクスが守ってくれるじゃない」
「あの子はあの子で、忙しいのよ。人手が足りなくってね。あの子ね、ちゃんとあたしの頭の良さを受け継いでたみたいで、力仕事以外でも役に立ってるみたい。」
「へぇー。すっごいわね。」
「そろそろ、トランクスも帰ってくるわ。上がってちょうだい。あたしを助けに来てくれたんでしょ。」
「ええ。トランクスがあたし達を助けに来てくれたように、あたしもこっちの世界でブルマを助けたいの。メドがつくまでこっちにいるつもりよ。」
「・・・。ありがとうブルマ。ホントに助かるわ!でもね、長くいてはダメよ。」
「え?迷惑だったかしら?」
「こっちの世界に長くいるっていうことは、あんたの寿命を縮めてるようなものなのよ。トランクスもそうだったでしょ?そっちの世界で成長して戻ってきたわ。」
「・・・」
「あんたは地球人よ。サイヤ人よりも寿命が短いの。わかる?あたしの言ってること。」
「わかるわ。あたしはべジータよりも早く死ぬのよね」
「そうよ。だからこっちの世界に長くいればいるほど、元の世界のあんたは早く死んじゃって、べジータは一人で生きていかなきゃいけない時間が長くなるの」
「でも・・・」
「あんたがいなくなった後のべジータは、どうなるかしら?」
「そう・・・ね。」
「一週間。」
「一週間間だけ、あんたの力を貸してちょうだい。それに・・・トランクスを救えるのもあなたしかいないの」
「トランクス?怪我でもしたの?!」
「ううん、元気よ。さ、何にもない所だけど、入ってちょうだい」
「?」
ブルマは軽くウインクをすると、過去から来たブルマを家に招き入れた。

あとがき
やっぱり未来トランクスが好きです。

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