その部屋は何もない世界だった。
果てしない地平線だけがどこまでも続いていた。

セルとの戦いのために精神と時の部屋でトランクスはベジータと修行をしていた。
昼は灼熱 夜は酷寒の世界
不安や迷いを感じる閑もなくひたすらベジータと戦っていた。
父であるべジータは何も語らなかった。ひたすらトランクスを攻撃し、ひるむと罵声を浴びせた。
精神的にも肉体的にも限界を超えていた。

トランクスは身体をベッドに横たえた。疲れ果てた彼が見る夢に美しい女性が現れた。
『トランクス』
この世界で出会った若い母だった。
夢の中で恋人たちのように抱きあった。
『母さん・・・・』
幸せなまどろみから目が覚めた。
(また、母さんの夢だ・・・・)
トランクスはポケットから一枚の写真を取り出した。
それは修行に入る前にこの世界の若い母からもらった写真だった。

「ねえ、トランクスは恋人はいるの?」
「母さん!な、なんです?」
ブルマの質問にトランクスは顔を赤らめた。
「あら、母として気になるわ」
「いませんよ、未来の世界ではそんな余裕はありませんから」
「まあ、寂しいわねえ。ねえ、これを持っていきなさい」
とブルマの写真をわたされた。
「恋人じゃなくて味気ないけど、ときどき私を思い出してね。修行をがんばってね」

この写真が過酷な修行に安らぎを与えてくれた。
「母さん・・・」
美しい彼女が無邪気に笑っていた。
彼女の高く澄んだかわいらしい声、甘い匂い・・・いつでも鮮明に思い出すことができた。
(ああ、はやく、あなたに会いたいです。会ってあなたを抱きしめてもいいですか)
修行が終われば母に会う。それがトランクスの目標に変わっていた。
外界との遮断された世界にいて人造人間やセルとの戦いが遠い世界のように思えた。
ブルマを肉親以上に想うようになっていた。
過酷な情況が精神を麻痺させたのだろうか、いつしか罪の意識を感じなくなっていた。


「まだまだ動きが遅いぞ、トランクス」
ベジータの鋭い拳がトランクスの顔面をかすめた。

トランクスは確実に強くなっていた。もう、スーパーサイヤ人の限界まできていた。
だが、それ以上のペースで最強の戦士であるべジータもレベルをアップしていた。
執拗な攻撃に防戦するのが精一杯だ。
「貴様、まだ、遠慮があるな。オレを肉親の情などを捨ててしまえ。サイヤ人は戦闘民族だ。相手を倒すことだけを考えろ」
「は、はい」
だが、どうしても最後の一手で躊躇してしまう
「まだ分からないようだな。だったら貴様の甘ったれた根性を断ち切ってやる」
と、ベジータの手に何かが出てきた。
「それは・・・・母さんの写真!」
トランクスがブルマの写真を取り返そうとするがベジータがあざ笑った。
「まったく、こんなくだらないものを大事にしているから強くなれんのだ」
「どうしようというんですか!」
ベジータが気を集中させてたちまち写真が燃えあがった。
「ああっ」
トランクスの目の前で焼け焦げた残骸が散ってしまった。
(母さん!)
ブルマが壊されたような痛みを感じた。
心の奥のかけがえのない神聖な存在だった。
怒りで肩が震え全身から黄金の炎が揺らめいた。


オレの・・・・オレの一番大切なものを・・・・
許さない

トランクスのなかで何かが切れた


「うわああああ」
トランクスの解き放たれた凄まじい気が辺りを覆った。
「そうだ、トランクス、その怒りだ」
膨大なエネルギーがぶつかり合った。黄金の髪が輝き戦士となって無我夢中でベジータと戦った。
いつしかスーパーサイヤ人の限界を超えていた。

オレは世界の平和のためでも人造人間を倒すためでもない
あんたを倒す
そして母をあんたから奪う

地獄と課した特別な空間で修羅となったトランクスが父に戦いを挑んだ





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大好きな、かりんと様からいただきました!!
素敵な素敵なベジータとトラですvvv
ブルマをとりあうこの二人!!萌え萌えですよー(><)
ベジータに大人の余裕があるのも、ツボです!!!
そして追いつめられるトラもドキドキなんですよねーーvv

ほんとに、ありがとうございました!!宝ものですvv
妙なバナーをつけちゃってごめんなさい。

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