世界で一番ママが好き 2

「イエーイ!オレ達を大人にしてくれーー!」
オレと悟天は神龍に願いを伝えた。
「元の姿に戻れなくなるがいいんだな?・・・」
「え・・・?そっか、それはちょっとまずいかな。一日だけ大人にしてくれっていうのはありか?」
「よかろう、その願い叶えよう」
オレ達は神龍によって一日だけ大人にしてもらった。
正確にいうと、体が大人サイズにというだけで、頭の中は変わっていなかったが。

「あ、あー。トランクス君、ボクの声変じゃない?」
「バカだな、悟天は。大人になったから声変わりしたんだろ」
「そっか。トランクス君もなんだかセクシーな声だね」
「お前に言われても嬉しくないぞ。」
でも、ママにトランクスの声って素敵ねーとか言われているのを想像したら、なんだかワクワクしてきた。

オレはC.Cにこっそりと帰ってきた。
できればママ以外の人とは会いたくない。特にパパには。

運が良いことにママは自分の部屋にいた。
「だれ?トランクス?入りなさいよ」
無用心にロックがはずされドアが開いた。

「あら?!トランクスじゃない!未来からまた来てくれたの。嬉しいわ!」
ママはオレにガバッと抱きついてきた。
しかも、シャワーからあがったばっかりなようでバスローブしか着てない。
そりゃ、ママとはたまに一緒にお風呂に入ったりするけどさ。
「ん?トランクス?あ、あらちょっと刺激が強すぎたかしら?!」
ママはなんだか顔を赤らめてオレの下の方を見ている。

あ、あれ?
オレのアレ、どうしちゃったんだろ。
体が大人になったから、こっちも反応してるのかな?
それに体もちょっと熱いし、変な気持ち。
これが大人なのかな。

「ごめんなさいね。突然抱きついちゃって。でもあんた、いくらあたしが若くてかわいいからって、自分の母親に欲情してどうすんのよ」
ママは、いつもオレに話しかけるのとは違う口調で話している。
「で?今回はどれくらいこっちの世界にいられるの?」
どうやらママは、オレを未来から来た方のトランクスだと思い込んでいるようだ。それならそっちの方が都合がいいや。
「えーと、一日かな」
「それだけ?」
ママは残念そうにしている。そんなママを見ていると、あと3日くらい大人の期間を延ばしてもらえばよかったかなって後悔した。

「いいわ。そこに座って。何か飲む?」
ママは冷蔵庫を開けた。
「えーと、ジュース・・・じゃなくて、コーヒーがいいかな」
ママは毎朝コーヒーを飲んでいる。
パパは飲まないけど、ヤムチャさんも、おばあちゃんもおじいちゃんもお気に入りらしい。
たまに飲ませてもらうけど、苦くて不味い。
でも、今のオレは大人だから飲むことにした。
煎れたてのコーヒーがテーブルに出されると、ママはオレの隣に腰をかけた。
ママ、ちょっと近すぎだって。未来のオレのこと、ママはそんなに好きなのかな。
オレはオレ自身にちょっとやきもちを焼いた。
「人造人間、倒せたの?」
ママは心配そうな目でオレを見た。
「え、まーね」
オレは適当に答えたが、オレのことだから人造人間なんか倒してるはずだろ。
「そう、よかったわ。心配してたのよ。あんたってば、ちっとも連絡に来ないんだもん」
ママがオレの腕に頭を持たれかけてきた。
初めて見るこの角度からママの顔。
ちょっと伏し目がちで長い睫毛がすごく綺麗。
オレと同じ色のすみれ色の髪の毛が、オレの首筋に当たってくすぐったい。
あ、やばい。
また、あの気持ち。オレがオレでなくなりそうな、変な感じ。
ちょっと胸が苦しいみたい。

ママは、またオレの下の方をじっと見ている。
「ねぇ、トランクス。あんた、あっちの世界で恋人とかいないわけ?」
「え?い、いるわけないさ。興味ねーもん」
「あら、あんた、随分乱暴な言葉遣いになったのねー」
「え?!」
ママは変なところに突っ込みを入れた。
未来のオレはどんな風に話してんだ?!
「いや、いませんよ。恋人なんか。オレには好きな人がいますから」
・・・悟飯さんが師匠だったらしいから、こんな感じで話してたのかな?
「え?!だれだれ?!あたしの知ってる人?良かったわー。あんた、もしかしてあたしに気があるんじゃないかと思って、母さん気が気じゃなかったわーー」
図星・・・オレ、言い出せないじゃん。

「そうか、あんた奥手なのね!当然よね、ずっと戦いの中で育ったもんね。女の子に免疫ないんでしょ。それじゃあダメよ。ちゃんと男がリードしてあげないと」
「え、いや、そういうわけじゃ・・・」
うろたえるオレ。

「あたしはトランクスの母さんだけど、正確にはあんたの母さんじゃあないわ。それにあんた、あたしのカラダ見て反応してるみたいだし、大人のことを少し教えてあげるわ」
ママはパチンとウインクすると、オレの耳元でべジータには内緒でね、って付け加えた。
パパに内緒、内緒!!やった!オレはパパに勝ったぞ!
オレの頭の中は勝利の音楽が鳴り響いていた。

「あたしはブルマっていうの。あんたの母さんのブルマじゃないわ。それに、あんたは未来の世界のトランクス。あたしの子供じゃないわ。わかった?」
「う、はい。」
「トランクス。あたしを好きな女の子だと思って、ちょっと口説いてみなさい」
「ええ?!」
無理無理、悟天じゃないんだから!急に言われても思いつかないよ。
「ちょっとした、ロープレよ。あんた達がよくやるイメージトレーニング」
「はい・・・」
オレはちょっとこの展開に困っている。普段考えたこともなかったので、どうしていいかわからない。
くそっ。悟天の奴にレクチャーでも受けとくんだった!!
それでもオレは、悟天が良く女の子を誘う時のことを思い出して、マネしてみた。
「へーい。お姉さん!ボクと一緒にゲームしない?」
・・・・沈黙。
ママは難しい顔をして頭を抱えている。
ち、違ったのか?!これじゃ、ダメなのか?!悟天は間違った誘い方をしてるから、モテなかったのか?!
「あんたね・・・。」
ママはあきれ顔でそういうと、スッと半分だけ目を閉じると、下からオレを見上げるような形になった。
なんか、これって・・・
バスローブからチラッと覗く、白い胸が・・・まぶしい。
見慣れてるはずなんだけど、なにか違う。
「あんた、身体は正直に反応してるわよ。このあたしを見て思いついたこととか、したいと思ったことをやってみてよ」
お、思いついたこと?!
「ブルマさん、世界で一番綺麗だ」(棒読み)
ママはちょっと首をかしげる。
「悪くはないけど、あんまりピンとこないわね。あんた、その子はちゃんと綺麗な子なんでしょうね。」
「き、綺麗だよ!こんな綺麗な人はいないよ、あ、いないですよ!」
「ふーん。それならいいけど、ちょっと焼けるわね。あたしより綺麗なの?」
いつのまにか対抗心を燃やしているママ。

「どこが好きなの?」
「オレだけに優しくて、頭も良くて、スタイルもいいし、綺麗だ。他の男達がたくさん寄ってくるけど、いつもオレが追い払っています。」
「ふーん。ま、あたしみたい子が未来にもいるのかしらね。競争率高いんだったら、あんたみたいな奥手じゃあねー」
「ブルマさんも、奥手はいやですか」
「・・・関係ないわね。あたしの場合、自分から誘っちゃうからねー。こーんな風に・・・」
ママはオレに軽くキスをした。
いつもしているキスなのに、心臓がドキドキしている。
おかしい。
そのうちママは唇をついばむように、やさしくはさんだり、舌で柔らかくなぞったりしている。
う、うわぁ。
いつもパパとこんなに気持ちいいことしてたのか。
オレも、まだまだガキだった!!
そのうち、首筋に沿うように、チロチロと舌を動かし下へと降りてくる。
ぞくうぅ!!!!
く、くすぐったい!・・・と思っていたら、だんだんと気持ちよくなってきた。
オレはいつのまにか、オレと同じすみれ色のママの髪をさらさらと弄んでいた。
ああ。すごーくなにかしたいけど、何をどうしたらいいか良くわからない。
こんなことなら、中身も大人にしてってお願いするんだった!
「この手はね、こっちよ」
何もしないオレをもどかしく思ったのか、ママは、オレの腕を引き寄せて自分の腰に回した。
「・・・・・・」
「トランクス、好きよ。愛してるわ」
「・・・オレもです。誰よりも、あなたを見てきたんです。」
この人はブルマさんで、オレのママじゃない。
そう思うと、オレの脳はいつのまにか考えるのをやめていた。

オレはこの後、どうしたらいいかがわかってきた。
誰かに教えられたわけじゃないけど、何故かこうしたいという気持ちが起こってきて・・・
気がついたら、ママをきつく抱きしめていた。
オレ達の間に、甘ったるい沈黙が続いた。

はっ!
その時、パパの気が近寄ってくるのを感じた。
オレは、ぱっと身を起こすとあわててママから離れたところに座った。
「あら?結構いい感じだったのに・・」
ママは残念そうに言った。
じょ、冗談じゃない。こんなところパパに見つかったら、オレは殺されちゃうよ。
案の定、パパはママの部屋にノックもせずに入ってきると、オレを見つけにやりと笑った。
笑ってるけど、怖い・・・。マジ殺される、かも。
「ブルマには手を出すなってあの時、言ったはずだ。」
「パパっ。オレ何もしてないよ。」
「きさまにパパなどと呼ばれたくはない。何かしていたら、とっくにオレが貴様を殺している」
「べジータ!トランクスは好きな女の子がいて、その女の子と仲良くなる方法を教えてあげていたのよ」
パパがじろりとオレを睨む。
「ほう、そうか。貴様、その女とは、このブルマのことだろうが・・・」
し、知ってたの?!
というか、未来のオレも、ママのことが好きだったのかー!!しかも以前にパパとトラブル起こしてる?!

パパはママを抱き寄せると、乱暴にキスをした。
そして、視線だけでオレに出て行けと命令した、ようだった。

オレは、すごすごとママの部屋を出た。

やっぱり、最大のライバルはパパだ。
パパを倒さない限り、ママはオレのものにならない。
くそっ。もっと修行してパパより強くなってやる!

そんなこんなで、オレの一日大人体験は終わった。

「トランクス君、どうだった?」
「オレ、宇宙一強い男になるよ」
「は?」
「早く大人になりたいなー。悟天、オレに女の扱い方を教えろ!相手はママだからな。大人の女の扱い方だぞ!」
「ええ?そりゃボクには無理だよ。直接ブルマさんに聞けばいいじゃないか」
「できるか、そんなこと!第一、ママから聞いた言葉でママを口説いてもしょうがないだろ!」
「それもそうだね。トランクス君も大変なんだね」
悟天は妙に納得したようにうなずいた。

大人への道は、まだ遠い。




あとがき
ちょっと早い思春期トラでした

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