オレのママは世界一

世界で一番金持ちで
世界で一番頭が良くて
世界で一番やさしくて(オレだけに)
世界で一番きれいだ

世界で一番ママが好き

第3ラウンド


ー オレはママに恋をしている ー
この気持ちを知っているのは、遊び仲間の悟天だけだ。

前回はおじいちゃんに作ってもらった、変身装置で大人になって、
ママといいところまでいったのに、アルコールのせいでうっかり寝ちゃったんだ。
でも、今度はうまくやるさ。

早速オレは悟天に電話をした。
「よお、悟天!今からウチに来いよ!お前に頼みたいことがあるんだ」
「えー?何?
ボク、宿題たまってるからさ、そんな時間ないよぉ」
「お前なぁ、もう夏休み終わっちまうぞ」
「だってさ・・・」

「ちぇ。しょうがねぇな。
オレが手伝ってやるから、今から宿題持って来いよ」
「ホント?!やったー!!じゃ、計算ドリルと英単語ドリルと日記と・・・」
「おい!日記くらい自分でやれよな!・・・まあ、とにかく早く来いよ!!」
オレは悟天の宿題を手伝うハメになったけど、悟天の協力なくしてはママと2人っきりになれないからな・・・
まあ、宿題なんて軽いもんだろ。

30分ほどで、悟天がやってきた。
「トランクスくーん!!」
「よお、悟天」
悟天はオレの部屋の窓から中に入ると、風呂敷包みを机の上に置き、
真っ白なドリルや、絵本やらをバサバサと広げた。
「助かったよーー。トランクスくん」
悟天は嬉しそうに、無邪気な笑顔をオレを見せる。
さっきの電話の時よりも宿題が増えているのが気になる・・・
そう思いつつも、オレはさっそく悟天に作戦を伝えた。

「えーーーー!!
ボクがトランクスくんのお父さんと、重力室で修行するの?!
やだよーー、怖いもん!!」
「じゃ、宿題手伝ってやらねーぞ。
あと夏休みは10日か・・・かわいそうにな、悟天は。
来週ママが悟飯さんたちを誘って、海に行くって言ってたぞ」
「ええーー!!ずるい・・・ボクも行きたいよ」
「宿題が終わんないと、つれってってくれないかもな」
オレはわざとらしく哀れみの視線を悟天に投げた。
「わかったよ・・・やるよ、やればいいんでしょ」
ふてくされた悟天が、しぶしぶとソファに腰をおろした。

「よし!
じゃ、悟天。頼んだからな!
オレも気を消してママに近づくけど、パパはやけに鋭いからさ、
感づかれないように、思いっきりトレーニングの相手をするんだぞ」
「はーい」
「あとママにさ、西の都の時計台に、今から30分後の4時に来るように伝えてくれ」
「わかった、トランクスくん」
悟天はおとなしく、ママのいるリビングへ向かった。

「よし、オレも準備を始めるか」
オレはおじいちゃんに作ってもらった、変身装置のついた腕時計のようなものを身につけた。

変身装置ってのは、体だけ大人になれるすばらしい発明品だ。
はじめはドラゴンボールで大人にしてもらったが、
その後はドラゴンボールが復活するまで、1年は待たなくちゃいけない・・・
そんなまどろっこしいこと、やってられるか。

「ふう」
オレは成長した自分を鏡に映した。
やっぱカッコいいな、オレって・・・
そう思いながら、西の都の時計台に向かった。



きっちり30分後に、ママはやってきた。
「あらーー?!トランクスって、大きいほうのトランクスだったの?!」
ママは驚いた顔をした。悟天のやつ、ちゃんと伝えなかったな。
「やだー、それならもっとお洒落にしてくれば良かったわー」
ママ、それって小さいほうのオレなら、どうでもいいってこと?
オレは少し悲しくなりながらも、今日のママの格好に満足していた。
今日はカジュアル系で、タンクトップに、ジーンズだ。

「いつ来たの?あ、もしかして、悟飯君のところに泊まってたのかしら?」
「いえ・・・つい先ほど・・・」
オレはピッコロさんから教えてもらった、未来から来たオレのマネをした。
言葉遣いは悟飯さんのマネをすればいい。オレにとっては簡単なことだ。

「あらそう。
でもわざわざ待ち合わせなんかしなくたって、ウチにくればいいじゃない・・・

あ!!もしかしてーー?
デートしたかったのかしら?あ、た、し、と!」
ママはパチンとウインクをし、オレの腕にぴったりと寄り添った。
本当はパパの近くにいたくなかっただけなんだけど・・・
「はい。たまにはオレに付き合うのもいいでしょう」
オレは爽やかな笑顔を見せた。(つもり)

「ステキねー!
じゃ、今日はあたしとあんたは恋人同士って設定よ!!」
「こ、恋人?!」
やった!!ラッキー!!
オレは内心大喜びだったけど、テレながら少し驚いてみせた。
「そ、恋人!
嬉しいわ。べジータはちっともデートなんかしてくれないからさぁ、デートなんて久しぶりよ。
それに、あんたいい男だから、ほら、皆あんたのこと見てるわよ!!
ふんふーん♪」
ママは見せびらかすように、ますますオレに密着してくる。
未来のオレも自分だけど、なんか羨ましいぜ、未来のオレ・・・

「えーっと、じゃあ、まずはショッピング!!」
そういうとママはオレの腕をひっぱり歩きだした。


その時、あるものがオレの目に飛び込んできた。
おもちゃ屋の店頭に並ぶ子供たちだ。
どうやら、オレの探し求めていた、レアもののロボットが、限定で10個だけ出るらしい。
うう・・・ほしい。

でも、ママの前では無理だよな。
いっそ悟天へのお土産とかいって買っちゃうか?!
「どうしたの?トランクス。おもちゃ屋さんに何かあるの?」
「い、いえ・・・。
子供たちがたくさんいて、好きなおもちゃも買えるなんて平和だな・・・と思って見ていたんです」
「そうね。あんたたちが作ってくれた平和よ」
ママは優しい微笑みをオレに向けた。

はあ。
あのおもちゃはあきらめよう。ママとのデートが一番だからな。
そう思いつつもうなだれるオレ。まだまだガキだな・・・オレも。

オレの気持ちを知る由もないママは、ショーウインドーに飾られたマネキンを見て立ち止まった。
「恋人に服を選んでもらうのって憧れてたのよねー。
ヤムチャはセンスがないし、べジータはそういう男じゃないからさ・・・」

「オレでよければ選びましょうか?」
「本当?!
じゃあ、思いっきりあんた好みの服を、あたしに着させてちょうだい」
オレは内心しめたと思った。
毎日一緒にいるから、ママの好みそうなものはわかる。
オレは迷わずに一枚のワンピースを取り上げ、ママに見せた。
パパが見たら下品だって文句を言いそうだけど、ママはこういうものが大好きだ。
「トランクス・・・あんたって私の趣味と似てるわ。ステキじゃない!!!
あたしコレ着てデートするわ!」
ママはそう言うと、ワンピースに着替え、靴やバッグもコーディネイトした。
「着替えた荷物はC.Cに送っておいて」
ママはそう云うと、店員の差し出す紙にサインをした。



「ね?どお?似合う?」
「ええ、キレイですよ、とっても」
自分が選んだ服をママが着ているというだけで、オレはドキドキしていた。
「これが本当の恋人同士なら、この服、あんたが脱がせられたのにねぇ」
「え?!」
ママはサラッと、とんでもないことを口にした。

「男は女の服を脱がすために、服を贈るっていうじゃないの・・・」
「そ、そうなんですか?!」

ドキドキ・・・

「あら、あんた顔赤いわよ。あんたってテレ屋だったのね。
ホント、べジータそっくりだわ」
「は、はあ・・・」

ヤバイな。あまり動揺すると、パパに気づかれるぞ。


「ね、トランクス。次はね・・・」
そう云うと、ママはオレをジェットフライヤーに乗せた。
そして、たどり着いた先は・・・


「ね、きれいでしょ!」

ちょうど夕日が落ちるところで、海の青と、太陽のオレンジが交じる。
オレは毎年バケーションでくる海だから、特になんとも思わなかったけど、未来のオレはこの景色は初めてだろう。
「あんたのいる未来の世界の海も・・・」
ママはくるりと振り向いた。
「こんなに綺麗になるといいわね」
そしてやわらかく微笑む。
オレンジ色の太陽の光が、ママの後ろから射す。
オレはまぶしさで目を細め、手をかざした。


チュッ。


ママがオレにキスをした。

キスなんて毎日してるけど・・・
おはようのキス、いってらっしゃいのキス、おやすみのキス
でも、なんだか・・・いつもと違う感じだ。


「や、やだ、そんな顔しないでよ。
えーと、母親としての、キスよ」



「もう一度・・・してくれませんか?」
オレはうわ言のように呟いていた。

ママはオレの唇に自分の指をあてた。


「母さん!」
オレはママが逃げられないように、捕まえていた。
「トランクス?」
ママは怪訝そうな顔をしていたが、オレの首に腕をまわし、もう一度キスをした。

「!!!!」

ママがオレの中に舌を入れてきた。
何が起こっているんだろう・・・。
いつものキスじゃない。
オレの舌を、ママの舌がなぞったり絡めたりする。

オレの頭の中に深い痺れがきて、何も考えられなくなった。
そして、身体の中が痛いくらいに疼きだした。
なんだ、この気持ち。
苦しい・・・。
でも、どうしたらいいかわからない。


「はぁっ」
オレは苦痛で深く息を吐いた。


そうだ、前にもこんなことがあった。
あの時、オレはママを抱きしめたんだっけ。

だから今度もオレはママをきつく抱きしめた。

けど・・・オレの疼きはしずまるどころか、血管の中を巡って全身をおおい尽くしていく。


どうしよう、悟天。
オレ、苦しいや。
オレの意思とは違うものに、身体がのっとられたみたいだ。

その時、オレはピーンと来た。

パパはママのことを、ただ抱きしめていたわけじゃないんだ。
オレの身体は、オレが欲しがっているものを知っているように、ママのワンピースに手をかけようとした。

その時

突然、全身に痛みが走った。
気がつくと、オレは岩に叩きつけられていた。

「っ・・・」
ママとキスをしていた口から、塩辛くあふれるものを感じて吐き出した。
血だ・・・

「よう、トランクス」
パパの声だ。
くそ、悟天のやつ、引き止めろっていったのに!!

「今、ブルマに何をしようとした」
オレは拳を血をぬぐい、崩れた岩を吹き飛ばした。

「父さん・・・別に、何も」
未来のオレならともかく、今のオレでは到底パパには敵わない。
「ほう?その答えは聞き飽きたな・・・たしか前にも同じようなことを言っていたからな」
そうだっけ・・・ヤバイ。
パパが本気モードになりそうだ。

オレはさっと岩陰に隠れ、急いで変身バンドを外した。
みるみるうちに子供のオレに戻っていく。

そして・・・気を消して、逃げる!!
ちぇ。いいところだったのに!!!

幸いにもパパは追ってこない。
今日はパパもママもC.Cには戻らないだろうな・・・そんな気がする。


「おい!!悟天!!なにやってんだよ」
「トランクスくん!だって!!べジータさん怖いんだもん!!」
悟天は半泣きになっている。

「ちぇ。しょうがないな・・・」
オレは腕を組み悟天を睨んでいたが、今日はいろいろなことを勉強したので許すことにした。

「だけど、宿題は手伝ってやんないからな!」
「ええーーーー!!ボクだって一生懸命やったんだよ!ヒドイよ、トランクスくん。
手伝ってくれないと困るよーー」
悟天は泣き出してしまった。

「・・・わかったよ。
ったくこんなときばっかり調子いいんだからな」

オレは、机に詰まれた計算ドリルを悟天の前に置いた。
「やるぞ。一日で終わらすからな!!」
「うんっ!」
悟天の涙はすっかり乾いていた。
いや、あれはウソ泣きだったか?!

それにしても・・・

今頃パパは、ママを抱いてるかもしれないな。
そうだ、抱くっていう意味がようやくわかったかもしれない。
あの疼きを治める方法を、多分オレは知っている。
もし、パパがこなかったら・・・
・・・あの後どうなってたんだろうな。

「今さら、考えてもしょーがねーか」
悟天がオレを不思議そうに見上げた。

そうそう・・・大人への道は、まだ通いな。





あとがき
このシリーズはコミカルなはずだったのに、
いつのまにかトラがシリアスーーー(泣)
トラが性の疼きを知っちゃって、次回どうしよう・・・
もう、可愛くて、生意気なトラが書きづらくなってしまいました。

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