未来への力-

第一話 目覚め


『CMの後も引き続き、東の都の情報をお伝えします』

ピッ

『東の都の復旧のメドはたっておりません』

ピッ

『若い男女の二人組が・・・』


C.Cリビングでブルマが1人、テレビから次々と入ってくるニュース速報に耳を傾けていた。
側には小さなトランクスが、すやすやと眠っている。


最近、世界が物騒になってきていた。
若い男女の二人組が、街をゲームのように破壊して楽しんでいるらしい。
一体、この二人はどこから来たのか。
人間なのか、それとも、ベジータのように宇宙人なのか、ということすらもわかっていない。

ベジータが気を探ったこともあったが、まったく気を感じないようだった。
二人が街を破壊しはじめてから、そのエネルギーを探り、やっとその場所へ飛んでいくという具合だ。


「父さんと母さん、大丈夫かしら・・・」
ブルマはテレビの電源を切ると、ブリーフ博士の携帯に連絡を入れた。
しかし、混線しているのか、いつまでたってもつながらない。
「なによ!役立たずね!」
ブルマはイライラしながら、携帯をテーブルの上に置いた。


今日に限ってブリーフ博士達は、謎の二人組の男女のことについての対策会議のため、東の都へ出かけていったのだった。
なぜ、科学者のブリーフ博士がそのような会議に出るのかは、ブルマは知らされていない。
小耳に挟んだ情報によると、どうやら世界中のトップクラスの科学者が集まるらしい。
ブルマも世界で5本の指に入るほどの科学者だったが、今回の連絡を受けてはいなかった。
不審に思い、ブルマが父親に訪ねてみても、
「おまえはトランクスの面倒を見ていてやりなさい」というばかりで、内容については教えてくれなかった。



(いやな予感がする)
ブルマは眠っているトランクスを抱え、ジェットフライヤーに乗り込むと、東の都に向かった。


ブルマが東の都に着いたときは、日が傾き始めた頃だった。

「な、なに?!ここは!!!!!」
ブルマは目を見張った。
東の都は跡形もなく破壊され、かつては美しく神秘的だった街は姿を消していた。
かわりに、いたるところに焼けこげた遺体と瓦礫が転がっている。

(うっ・・・)
ブルマは人の焼けた異様な臭いに、口と鼻を覆った。
小さなトランクスは、こんな状況でもブルマの腕の中ですやすやと眠っている。
やはり、サイヤ人は地球人とは違うのかもしれないと思いつつ、ブルマはほっとした。


父親のブリーフ博士がいると思われる、東の都の研究室はどうなっているだろう・・・
ブルマは再びジェットフライヤーに乗り込むと、研究室を目指した。

(まるで地獄だわ・・・)
研究室は都心部から若干離れていたにも関わらず、今までで一番ひどい状態だった。
ひどいというよりも、跡形もなく吹っ飛び更地のようになっていた。
(父さん達は?!・・・・・・
そうだ!この研究室はシェルターがあったんだわ!)
ブルマはトランクスを起こさないように抱え、地下シェルターの入り口に向かった。



「そ、そんな・・・」
ブルマは絶句した。

地下シェルターの分厚い扉は溶けたように落ち、中から漂う空気には血のにおいが混じっていた。

「と、父さん!!」
ブルマは溶けた扉から中へ入り、階段の途中で何かに足をとられた。
「きゃ!!」
ブルマは心臓が止まるかと思った。
血に染まった人間の手が、ブルマの足首をつかんでいる。

「だ・・・・め・・・です。入っちゃ・・・いけ・・・」
よく見れば見覚えのある顔だ。

たしか、父さんと仲の良い科学者だったはずだ。
「ブルマ・・・お嬢・・さま。これを・・・」
その男がブルマに手渡しのは、小さなカプセルだった。

「なに?なにがあったの?!ねぇ!!!」
ブルマは男の声を聞き漏らすまいと必死で耳を傾けた。
「人造人間に・・・やられました・・・」
「人造人間?!なに?なんなのそれは!」
「あの二人組は人間では・・・あり・・ません。ドクターゲロが作り出した・・・人造人間・・・だったのです。
私たちは・・その人造人間を破壊する装置を・・・作るために、今日」
「わかったわ。それで集まっていたのね!それで、父さんは?!」




「ブリーフ博士は・・・殺されました」



ブルマの頭の中は真っ白になった。



父さんが死んだ?!・・・父さんが・・・



死んだ?



ブルマには理解できないことだった。
しかし、男は言葉を続けた。

「博士は・・・お嬢様を巻き添えに・・・しないように
今回の会議のことは・・・口外するな・・・と」
「父さんが!?」
「奴らは、科学者を・・・憎んでいま・・」

そういうと、男は動かなくなった。



「う、う、う、うそ・・よね?」
「父さんが死んだなんてウソよね・・・」


「うわーーーーーん!!!!」

ブルマは大声を上げて泣いた。
その声に驚いたトランクスも目を覚まし、けたたましい泣き声をあげる。



「おや、まだ人が生き残ってたぞ」
ブルマの頭上から若い男の声がした。

「え?」
ブルマは咄嗟に上を見上げた。

「お前、C.Cの娘だな。知っているぞ、俺たちの大嫌いな科学者だ」
男の目が、ギラリと光った。

(人造人間!!)
ブルマは泣きわめくトランクスを隠すようにして、抱きしめた。

「おーい、17号!なんかいたのかよ」
女の声もする。
「ああ。科学者の生き残りを見つけたぞ」
17号と呼ばれた少年は、ブルマの腕を掴みシェルターの出入り口から引きずり出した。

「な、何するのよ!!!」
ブルマは、少年を見上げた。

少年のかわりに、もう1人の人造人間が答える。
「あんた達科学者には消えてもらうよ。
あたし達は待っていたんだ。馬鹿な科学者達が集まるこの日をね」
そういうと、少女の形をした人造人間がブルマの目の高さに、手のひらをかざした。

(殺される!!!)
ブルマは堅く目をつぶった。


しかし、何もおきない。
うっすらと目を開けると、17号が少女の手を掴んでいた。

「早まるなよ、18号」
「なんで止めるんだよ」
18号と呼ばれた少女は冷たい目を17号に向けた。

「オレのおもちゃにしてから殺すことに決めた」
17号は、ブルマの手から小さなトランクスを奪うと、18号に投げ渡した。
「こっちを先に殺しておけよ」
「ちぇ。つまんねーの。こんなガキ殺したって面白くないよ」
「やめて!トランクスを返してよ!!!」
ブルマは手を伸ばしたが、その手は17号によって遮られた。

「!!!」
ブルマはあっという間に17号に捕らえられ、唇を奪われていた。
そして、服を引き裂かれ、むき出しになった白い胸を痛いほど捕まれた。

「17号、あんたって女に興味がなかったんじゃなかったっけ?」
18号があきれたように云った。
「興味ないさ。でも特上な奴は嫌いじゃない。
ゲロの奴が、オレの生殖機能を残したままで改造したからな・・・
ちゃんと処理しなければいけないらしい」
「ふーん。男ってやつはめんどくさいね」
17号はブルマを四つんばいにさせると、スカートをまくり上げた。
「やだ!!!やだ、やめて!!」
ブルマは抗おうとするが、人造人間にはびくともしない。

トランクスも18号に乱暴に捕まれ、さらに大声で泣き出した。
「トランクス!!」
ブルマは17号に組み敷かれながらも、トランクスを視線で追う。
18号はニヤリと笑うと、ブルマに見えるようにトランクスを掲げ、手からエネルギー弾を放った。


あっという間の出来事だった。


ブルマはしばらく何が起きたのかわからなかった。

しかし、目の前の光景は・・・


ぴたりと泣きやんだトランクスと・・・
そして、不意をつかれて吹き飛ばされた18号・・・。

18号もきょとんとした顔で、小さなトランクスを見ている。

ブルマはハッとした。
(トランクスはベジータの・・・サイヤ人の血を引く子だわ!
あんな小さくても・・・まだろくに喋れなくても、戦う本能はあるんだわ・・・)

「なんだ、18号!そんなガキにやられてんのか」
17号もブルマに覆い被さったままで、18号をからかう。

「ガキだと思って油断したよ。なんだ、こいつは・・・?」
18号が再びトランクスにエネルギー弾を放とうとしたその時・・・


バキッ!!!!!!!

ドカッ!!!!!!!


不意にブルマの体が軽くなり、暖かいものに包まれた。
ブルマの体に回された腕は、ブルマのよく知る腕だった。

「ベジータ・・・・」

「間一髪だったな」
そして、もう1人、見覚えのある顔。
「ピッコロ!」
ピッコロは小さなトランクスを抱えていた。

「サイヤ人の血か・・・ガキのくせに相当なパワーだぜ」
「フン。超エリートのオレのガキだからな・・・
カカロットのガキとは、比べものにならないパワーを秘めているはずだ」
ベジータは得意そうに笑う。

「ブルマ、さっさと C.Cへ戻れ!!」
ベジータはブルマを降ろし、ジェットフライヤーに乗せた。
「あんたは?ベジータ!!!」
「オレはこいつらを片づける・・・さあ、早くいけ、ブルマ!」
ベジータのオーラに、ブルマはただごとじゃないものを感じ、
ジェットフライヤーを全力で飛ばした。

(ベジータ!!!絶対戻ってきてよ!!)
ブルマは祈った。


「ずいぶんな挨拶だな、ええと・・・ベジータだっけ?
それからピッコロ」

「貴様はぶっ殺す!!!!!」
ベジータは超サイヤ人になると、17号に気弾を放った。

18号もパタパタと埃を払うと、ピッコロを睨みつけた。
「お気に入りの服だったのに・・・あんた殺してやるよ」
「けっ。貴様なんぞにこのオレが倒されると思うか!」

ベジータとピッコロ、そして人造人間達がはげしくぶつかり合う。
しかし、天候も、地形すらも変えるほどの激しいバトルは、
それほどは長く続かなかった。


続く


あとがき
次回は「夢の中」です。

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