惑星ベジータ 1

「ねえねえ、あんたって惑星べジータっていう星の王子様だったんでしょ?」
いきなりブルマが言った。

「孫君が行ってたわよ。あんたが小さいときにフリーザに星ごと破壊されちゃったって。」

チッ。カカロットの奴めくだらんことを喋りやがって。オレは軽く舌打ちすると、テーブルにあったミネラルウォーターをガブガブと飲み干した。
なんで今さらこんなことを聞きやがるのか。オレは適当に返事をしておいたがブルマは気に留めるふうでもなく話を続けた。

「もし、フリーザに破壊されてなかったらあんたは地球に残らなかったんでしょうねー。」
ブルマは軽い調子で核心に触れることを言った。
「くだらんことを聞くな。」
「そうしたらトランクスは生まれてこなかったのかしら、やっぱり。」
「えー!おかあさん!ボクのこと生まれてこなければ良かったって思ってたの?」

オレのガキ、トランクスは半泣きになってブルマを見上げている。サイヤ人の血を半分引いているくせによく泣くのが気に入らん。
そういえばカカロットのガキの悟飯もそうだったか。とにかく、甘っちょろい地球人の血がそうさせるのか。
ただ、サイヤ人と地球人の混血は純粋なサイヤ人よりも、赤ん坊のときの戦闘能力の数値が高いことは確かだ。
トランクスもあっけなく超サイヤ人になりやがった。

「ち、違うのよ、トランクス。そういう意味じゃなくって。」
じゃあ、どういう意味だ。
「ほら、べジータとあたしってそういう大人の深ーい関係になってなかったのかしらねって・・・」

ぶぶッ!オレは口にしていたスープを噴出した。この女突然なんて事言いやがる。
「ちょ、べジータてば下品ねー!」
どっちが下品だ。

「おかあさん、大人の深い関係ってなに?」
「おい、トランクス。くだらん事言ってないでさっさと飯を食え!このあと、みっちり稽古をつけてやる!」
「ホント?おとうさんが!?」
オレはなにか言いたげなブルマの視線を無視して残りの飯を平らげた。

トレーニングを終えたオレはシャワーを浴び、濡れた髪をゴシゴシとふき取り冷蔵庫からペットボトルをつかむとのどを鳴らして飲み干した。
窓からは満月が見え、尻尾はないがブルーツ波を浴びたオレは気分が良かった。
その時ブルマの小さな気がドアのところで立ち止まっているのに気がついた。
一体なにしてやがるんだ。ロックはしていないから入ろうと思えばいつでも入れるはずだ。
オレはリモコンで扉を開け、柱に腕を組んでもたれかかった。

「何の用だ。」
ブルマは一瞬驚いたようだったが、すぐ大きな瞳をまっすぐにオレに向けるとついっとベットに腰掛けた。
そしてオレの嫌いなタバコというやつにカチカチと火をつけふぅと一息ついた。
ブルマの父親もそうだが、地球人は意味のない嗜好品が好きらしい。
オレはタバコのニオイに顔をしかめると、小さい気を放ってブルマの手にあるタバコをふっ飛ばした。
「な、なにするのよ!危ないじゃない!」
「なんの用かと聞いているんだ。さっさと答えろ。」
「なによ、ずいぶんな言い方じゃない。あたしはあんたの故郷の惑星べジータって星についていろいろ聞きたいのよ。あんたは話したくないかもしれないけどさ・・・」
「なに?!」
「ほらあんたって地球のこと下等な文明の星ってよく言ってるじゃない。神様の乗ってきた宇宙船とか、フリーザの宇宙船にあったっていうメディカルマシーンもそうなんだけど、地球の科学って他の星に比べたら劣っているのは確かね。あたしや父さんも天才科学者だけど、それでもあんたたちの持っている文明の科学には理解できないことがたくさんあるわけよ。」
「・・・」
「興味あるじゃないの。ナメック星に行ってからずっと思ってたのよね。」
「それなら惑星べジータじゃなくても、フリーザのヤローが征服した星がまだ残っているだろう。そうだな・・・ここからだとNo,79が18日程度でいけるだろう。」

「・・・あたしはあんたや孫くんが生まれた惑星べジータを見てみたいの。トランクスだって半分はサイヤ人の血が流れてるんだし。ほら、ドラゴンボールで消滅前の惑星べジータに戻してしてもらえば・・・」
「フン。」なにを言い出すと思えば、あいかわらすくだらんことを思いつく女だ。
「ドラゴンボールは一年以内に消滅したものしか復活できないんじゃないのか。惑星べジータが消滅したのは30年以上も前のことだぞ。」
「そこなのよねぇ・・・。あんたの王子様ぶりもちょっと見てみたかったんだけどな。ま、どうせサイヤ人の王子様だからあたしの想像する素敵な王子様とは程遠いんでしょうけどねー。」ブルマはそう言うと挑発的な視線をオレに向けてきやがった。

チッ。相変わらず口の減らない女だ。オレはブルマの顎に人差し指を掛けクイッと上に向けさせた。

大きく見開かれたブルマの瞳はこの地球と同じ蒼い色をしている。低俗な星だがオレが征服したどの星よりも豊かで美しい。
そしてその地球と同じブルマの蒼い瞳はオレの気に入っているもののひとつだ。

「・・・べジー・・・タ・・・?」
ブルマの形の良い小さな唇は、オレの名前を声にならない音でなぞった。
ブルマのぬけるような白い肌がさっとピンクに染まるのを月の光が映し出す。

フン・・・悪くはない。
オレはどれだけこの女を征服してきたかわからんが、ブルマという女は興味の対象としては尽きることがない。
戦闘力のない下品でうるさいだけの女で、世話好きで地球人独特の甘っちょろい情をオレにぶつけ、計算高くしたたかかと思えば、どこか抜けてやがる。
だが、天才的な頭脳と冷静な判断力はオレにとって好ましく、また、そんなブルマがこのオレだけに見せる苦痛にあえぐ表情は充分に満足させるものだ。

オレはソノことを思い出すと、ブルマの顎にひっかけていた指をピッとはじいた。
そして少量の気をためた指先でブルマの首筋から背筋へゆっくりとなぞっていく。
「・・・ッ!」

くっくっくっ。オレは喉の奥で笑った。
ブルマの体が反応しだしているのをこのオレは知っている。
挑発的に見開かれた蒼い瞳は次第に焦点を失ったようにうつろになり、わずかに開いた唇からつややか白い歯がチラッのぞく。

その唇からオレを請う下品な言葉が紡ぎだされるまで、このまましばらく楽しんでやるつもりだ。

オレは破壊や殺戮を繰り返していた頃とは違った気分の良さを手に入れられたことに感謝していた。


あとがき
続きます(><)

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