惑星ベジータ 5

「さてと」
べジータは王宮に集まった人々をぐるっと見回した。

「貴様らよく聞け」
「この惑星べジータはフリーザのヤローが破壊したのは知っているだろう」

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「奴はサイヤ人を恐れていた・・・
伝説の超サイヤ人に殺されることを恐れて、この星を爆発させた。残ったのはナッパにラディッツ、カカロット、そしてこのオレの4人だった！ついでに面白いことも教えてやろう。ドラゴンボールのことは聞いたことがあるだろう。オレもただの伝説だと思っていたが・・・・・・ドラゴンボールは存在する！」

どよめきが起こった。
超サイヤ人が存在することも信じられなかったのに、願いを叶えることができる、ドラゴンボールまで存在するという。べジータが言うのだから間違いはないと、皆理解はしているが・・・

「そして、そのドラゴンボールで惑星べジータを復活させた！
・・・断っておくが、オレがこの星に帰りたかったからなどと言うことではないぞ。
惑星べジータがぶっ飛んだ時、オレはガキだったが何も感じなかったんだからな。ましてや、貴様らを生き返らせたかったわけでもない」

べジータは一旦言葉を切ると、居並ぶ顔をゆっくりと見回した。

「理由はない。ラッキーだったとでも思っとくんだな！」

べジータは大きく口をあけて笑いだした。
（ブルマが勝手にやったことだが、面白いことになった）

この後、どうしてやろうか。
フリーザを倒してしまった今、住み心地の良さそうな星を見つけて高く売る相手はいない。
そのシステムはまだ残っているだろうから、それを利用してサイヤ人が宇宙のトップになればいいことだが、べジータには、宇宙征服になんの魅力も感じなかった。それに、フリーザと同じことをやるのは気に入らない。

「また、めぼしい星を見つけて、征服するか？それもいいだろう。だが！使う側になれ！いいように使われるな！貴様らはフリーザを利用していたつもりで、逆に利用されていたんだぞ！・・・このオレも含めてな！！！」

「さあ、どうする？惑星べジータとサイヤ人は復活した。フリーザの野郎もいない。・・・貴様らのスキにしろ！」
べジータの口角がキュッと上がった。
「ただし、オレは王になどなるつもりはない・・・貴様らが勝手にやれ」

その時べジータの視界に、王の元を離れ、部屋を出ていく人影を捉えた。先ほどバーダックが消えた方向へ向かっている。サイヤ人にしてはそんなに大きな気ではないので、王の参謀のような立場の者だろう。

べジータはその気の向かう方向を探っていた。その先にはメインコンピュータールームがある。
（スキにしろとは言ったが、つまらんことをしやがる）
どうせ地球の破壊でも,セットしに行ったのだろう。超サイヤ人に超化できるべジータをこの星にとどめるために。

しばらく宙を睨み黙っているべジータを、王はじっと見据えていたが、ぼそりと言った。

「べジータ。貴様が従わなければ、地球も、あの女も消滅させるよう命令した」

（チッ。せこいことを考えやがるぜ。数人のサイヤ人に攻められたら、今のトランクスでは少々てこずるかもしれんな。まぁ、地球はカカロットの奴がいるから大丈夫だろうがな）

「貴様は王になることを拒んだ。・・・いいだろう。だが、前線に出て戦ってもらうぞ」
「フン。弱い奴を相手にしてもつまらんな。オレが戦いたいのはカカロットだけだ。しかし・・・ヒマ潰しに少しだけ遊んでやろう」
べジータは宇宙ポッドのある部屋への通信をonにさせた。

数回のコールの後、バーダックが出たようだ。
べジータは、ブルマ達に地球へ帰るよう伝えろ・・・とだけ言うと通信を切った。

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べジータは大きなモニターをじっと見ていた。一歩下がったところにはバーダックが控えている。
トランクスに気絶させられた者達は、まとめて通路の隅に積み上げられていた。

「女とガキは地球に返したが・・・何故、べジータ様はここに残ったんですか」
「貴様に興味があったからだ」
べジータは振り返りもせずに答えた。
「バーダック、しばらくオレと行動を共にしろ。貴様はカカロットの父親だ。超サイヤ人になれる可能性はある」
「しかし、オレは下級ランクです」
「だからなんだ。カカロットはオレより先に超サイヤ人になりやがったぞ。この超エリートのオレを差し置いて・・・だ」
「なぜカカロットにそこまでこだわりを？」
「フン。奴はいつもオレの先にいやがるからな。奴を倒すことだけがオレの目標だ」

バーダックの口元に、柔らかい笑みが浮かんだ。

続


あとがき
なかなか話が進まないです（＞＜）
次はちゃんとブルマが出て来ますのでお待ちください。