べジータが惑星フリーザNo.658で修行している間、
ブルマは宇宙船の中で一人、本を読んだり、研究をしたりして過ごしていた。
べジータがこの星をフリーザのために征服したのは、べジータがまだ小さい頃で、
かつては栄えていた星も、既に生命体の反応がなく、町は廃墟と化していた。
ただ、べジータには力の加減なく修行ができるので都合がよかったらしく、
1ヶ月以上たった今もこの惑星に滞在していた。
「あーあ、つまんなーい。やっぱり地球にいればよかったかな・・・」
ブルマはソファに寝そべって、大きなあくびをした。
べジータは腹が減るまでは帰ってこない。
「毎日毎日こんな狭い宇宙船の中だけじゃ、退屈よーー!!」
ブルマは叫んだ。
100倍の重力に耐えられる小型の生命維持装置も持ってきていたが、
パワーチャージにえらく時間がかかり、そう何度も外には出られない。
「ん?」
ブルマは宇宙船の外に、何かが動いたのを確認した。
「なにかしら?ココには生命反応はなかったはずだけど」
ブルマはソファから起き上がり、窓の外を見回した。
「あ!」
何かがブルマの視線を横切る。
形までは確認できないが、ブルマより一回り大きな物体だ。
ブルマは急いで生命維持装置を身につけ、宇宙船の外に出た。
「な、なんだったのかしら、あれ・・・」
ブルマは恐る恐る宇宙船から離れ、物体の消えた方向へ歩き出した。
あたりは崩れた建物がそびえたち、見たこともない乗り物のようなものがそこら中に転がっている。
状況から見ると、この星の住民は、何らかの原因でこの星を捨て、脱出したような感じだ。
どれくらい歩いたのだろうか、今までの風景とは変わって空高くそびえる城砦と思われるような建物にたどり着いた。
「わぁ・・・すっごいわね、これ。上まで見えないわ」
ブルマはそのスケールの大きさに驚きの声をあげた。
ブルマは無防備に開かれている門を潜り抜けた。
ブルマの皮膚に冷たい感触が走る。
「な、なに?!」
ブルマがぎょっとして振り向くと、青い肌の人間型宇宙人と思われる男が立っていた。
切れ長の目と整った顔立ち、それに均整のとれた身体をもち、
肌が青いことを覗けば美系の部類に入るであろうこの男にブルマは見覚えがあった。
(ナメック星でべジータに殺された奴にそっくり!)
ブルマは思わず後ずさった。
男は聞き取れない音をいくつか発した。
「なに?なんていっているの?!」
「・・★○%///・・・」
「わからないわよ!」
「地球の」
「え?」
「女か」
その男は地球の言語を見つけ出したようだ。
(すごいわ、これは)
ブルマは恐怖に顔を引きつらせながらも、妙に関心をしていた。
「あ、あやしい奴じゃないのよ・・・あたしは。・・・確かに地球からきたけどさ・・・。
うん。それじゃ、またねっ!!!」
ブルマはくるりと向きを変えると、猛ダッシュで戻ろうとした。
しかし、男に腕をつかまれ、あっというまに組み敷かれてしまった。
「な、なにするのよ」
「偏狭の星の地球にも、女がいたのか・・・」
その男のただならぬ様子にブルマは身の危険を感じた。
「え?ちょっと・・・あ!!!」
ブルマはうつ伏せにされ、男に両足を抱え込まれた。
必死にもがいて逃げようとするが、びくともしない。
そのとき、ブルマの視界に生命維持装置の赤いチャージランプが点滅しているのが目に入った。
(や、やばいわ!!あと2分しかパワーが持たない!でも、この状況って)
ランプの点滅は15分前から起こるのだが、ブルマは気づかなかいでここまで来たようだった。
戻るのにも20分以上はゆうにかかる。
どちらにしても、重力で押しつぶされるしかないようだった。
(こんな宇宙人にいいようにされるのも嫌だけど、死ぬのはもっと嫌ーーーー)
「助けてよーー!孫君!!!」
次第に身体が重くなってきた。
それは、ブルマに覆い被さる男の体重なのか、装置のパワー切れによるものなのかは、よくわからない。
(く、苦しい)
ブルマは心臓がつぶされるような苦痛を覚え、必死に叫んだつもりだったが声にならなかった。
(助けて・・・べジータ!)
ブルマにはその瞬間何が起きたのか、理解できなかった。
耳を劈くような爆発音に、風を切る音。
そして、それはドクンドクンという脈打つあたたかな音に変わった。
べジータはブルマを抱え、宇宙船まで猛スピードで飛ばしていた。
風が当たらないよう、ブルマを広い胸板でしっかりと覆っている。
(べジータの心臓の音だったのね・・・)
ブルマはべジータの腕の中で目をつぶった。
「面倒かけやがって」
べジータはブルマを宇宙船につれて帰ると、どさりとソファに放り投げた。
「きゃ!」
「オレの修行の邪魔をするな!」
べジータは怒りのせいか、声が普段よりも荒くなっている。
「でも何で・・・わかったの?あたしがべジータを呼んだのが聞こえたの?」
ブルマはまだ少し苦しそうだったが、表情はしっかりしていた。
「オレを呼んだ?フン。貴様が呼んだのはカカロットだろうが!」
「でもあたし、べジータに心の中で助けてって言ったわよ。だから来てくれたんでしょ?」
「違う。貴様の中にあった、デカイ気が急激に小さくなったからだ」
「デカイ気?」
「わからんのか?地球人には」
「?」
「貴様の中から、デカイ気を感じるようになった。ここ数日の間に、だ」
べジータの視線はブルマの下腹部に向けられている。
「あたし?何?宇宙に来たからパワーアップでもしたのかしら・・・?」
「・・・貴様の中にある気は・・・オレのとよく似ている」
「え!?」
ブルマはようやく理解した。つまり、べジータの子供が自分の中にいるということだろう。
咄嗟に手のひらをその場所に当ててみた。
特になにも感じない。
しかし、ブルマには確信があった。
あの時、べジータが超サイヤ人になったまま自分を抱いた時、
べジータの気も一緒に流れてきたような感触があった。
あの時に、あたしとべジータが融合したんだわ。
でも、それにしては早い。
(もしかしたら・・・)
「ねぇ、サイヤ人は戦闘民族って言ったわよね。女も戦うの?」
「当たり前だ」
「ということは・・・子供が生まれるまでの期間が短いのかもしれない!」
サイヤ人の孫悟空の子供を身ごもったチチはどうだったのだろう?
地球人のように長い間、お腹の中にいたのだろうか・・・?
いや、そんな長い間子供がお腹の中にいては、戦闘をするのに不都合だろう。
多分、半年かそこらで子供が生まれてくるのかもしれないとブルマは見当をつけた。
「サイヤ人と地球人の混血は、カカロットのガキのように高い戦闘力をもって生まれてくる」
「そうか、悟飯くんがそうだったものね」
「オレのガキなら、それ以上の戦闘力を持っているだろう」
べジータは二コリともしないで云った。その表情は複雑そうだ。
いずれ自分の脅威になるかもしれない命は、早いうちに絶ったほうがいい。
(ナンバーワンはオレ一人で十分だ)
しかし・・・
惑星べジータの王子である、自分の血と誇りを受け継ぐ者を見てみたいという思いが、
べジータの脳裏をかすめた。
「あたしとあんたの子供なら、天才に決まってるわ!!」
ブルマはべジータの頬を両手でふうわりと挟みこみ、硬く閉じられた唇にキスをした。
続く
あとがき
設定が強引・・・。
この宇宙で、しかも超サイヤ人の時にトラを作ってほしかったのですーー。
でも宇宙で受精したら、地球で産めるのかな??
ベジが宇宙人だから関係ないのかもしれませんが。
今回18禁がないのですが、次回にご期待!!(多分)
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